インフォグラフィック映像の質を上げる、ふたつの基準

弊社にご依頼いただくことが多いジャンルとして、

インフォグラフィック・モーショングラフィック映像と呼ばれるジャンルがあります。

情報や商品・サービスの魅力を親しみやすく、

かつスタイリッシュに伝えたいときに有効な手法と思います。

 

近年国内の映像業界でもとても増えきているジャンルですが、

その制作にあたっては、企画構成・コピーライティング・グラフィックデザイン

そしてモーションデザインなど複合的な多くのスキルが求められ、

そのためクオリティを上げるための施策は多岐に渡ります。

 

自由度が高いだけに、制作やディレクションを進める中で

「なんかもう少し良くならないかな」という話になったときに、

多々考えられる対策の中から、何が根本の問題なのか、

どういう観点で改善していったらいいのか迷うこともあるかと思います。

ああしようこうしようという議論が交錯する中で方向性が定まらないこともあるかもしれません。

そのようなときに、よりクオリティを上げるための方針を探る上で、

評価の観点をふたつ明確に分けて個別に対策を考えることが有効と考えるようになりました。

 

それは、「情報性」と「演出性」です。

 

前者は「伝えたい情報やメッセージがしっかり伝わる表現になっているか」、

後者は「映像としてユニークで美しく、面白さや気持ち良さを感じる表現になっているか」。

優れたインフォグラフィック映像のデザインとは

これを高い次元で両立したものなのではないかと思います。

 

映像がなにかを伝えるものである以上、

「演出性」が「情報性」を阻害するものであってはなりません。

しかしともすると、制作者が作品の斬新さやオシャレさを追い求めるあまり、

肝心のメッセージや情報が観た人の心に残らないということも陥りがちな印象があります。

 

とはいえ「演出性」の意識が低く、ただ情報がたたみかけられるだけでは

観る人は退屈し、押せるならば早送りや停止のボタンに指が向かうでしょう。

観る人の興味やモチベーションを保つための努力を怠ることは

「きっとつまらなくても観続けてくれる」という作る側の甘えに他なりません。

 

両者をないまぜにせず個別に評価し、

作品になにかが足りないなと思ったときにはその「どちらが足りない」のか、

打つ対策がその「どちらを高めるための施策なのか」を明確にし、

「もう片方を阻害することがないか」を検証する。

 

そうして「情報性」と「演出性」がうまく絡み合うとき、

インフォグラフィック映像のクオリティは一段ずつ上がっていくのかもしれないと感じます。

 

って、具体例なく概念だけ言っててもちょっとわかりづらいかもしれませんね!

 

今後、当ブログでも様々な事例紹介を通して、

両者についての具体的な対策や表現手法に触れながら、

より制作の質を高める努力をしていければと考えます。


Apr 7, 2019 | Category:journal



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