生成AI動画制作方法の解説と2026年版おすすめツール紹介

前回の記事で、桃太郎をモチーフにした生成AIによる映画予告編「MOMOTARO’s SUN」の動画制作についてお報せいたしました。今回はその際ご紹介しきれなかった使用ツールや技術の詳細や比較の解説になります。

JOURNALAI動画生成で映画は作れるのか?1分の予告編で試してみた件

各ツールを使ってみての所感、良かった点だけでなく思った通りにいかなかった場面も含めて、実際の手順を解説いたします。これから触ってみたい方への参考となりましたら幸いです。

制作に使ったツールと、その役割

今回の制作では、下記のツールを役割ごとに組み合わせて使いました。

AIで全て完結させるというのを目標には置いておらず、「AIを使ってこれまで人力だけではつくれなかった映像をつくってみる」をテーマに置いており、クオリティが担保できる部分は手作業による制作も併用しております。

Claude(会話形式で英文プロンプトを生成)

頭の中のイメージを日本語で相談し、生成AIに伝わりやすい英文のプロンプトに翻訳してもらう相棒として使いました。生成AIは英語のほうが指示が通りやすいので、感覚的な日本語のやりとりを元に的確な英文に変えてくれるのは大変助かりました。2年前はプロンプトを打つために随分英単語を覚えたのですが、それをしなくてよくなり、英語の勉強が捗りません。笑

現在のAIツールはかなり長文でもしっかり認識してくれるようになっているので、感情・雰囲気・動きのニュアンスなどを詩のように長く表現したプロンプトにすることで、端的なプロンプトよりも思った通りの画になることが多かった印象でした。

Google Flow(Nano Banana Proを用いた画像生成)

Googleの画像・動画生成ができるツールです。Nano Banana Proは高品質な画像生成エンジンで、細部の質感や文字の再現、同じ人物を保つ力に定評があります。今回は各カットの静止画と、キャラクターデザインの3面図生成に使いました。

Flowがいい点は、一回のプロンプト指示で4つまでバリエーションを出してもらえるのでオーディションができること。

Midjourneyも同じような機能があり、単純な指示でも美しい画にしてくれる絵ゴコロやカメラ調整機能は素敵なのですが、NanoBananaもプロンプトさえ整えればクオリティ的には差がなくなった印象のため、コスパ面でこちらを採用しました。

Flowの欠点は、生成を繰り返しているうちに突然制限がかかり最大24時間使えなくなること。いつそうなるかの目安がないため、プロユースの際は少々恐ろしい面もあり、下記のHiggsfield併用が効きました。

Higgsfield(Seedanceなど様々な生成ツールをまとめて運用)

様々な生成モデル・ツールをまとめて扱えるサービスです。今回はおもにこの上でSeedanceを動かしました。

キャラクターやロケーションをElementとして登録すると、動画や静止画に参照させて統一できたりもします。

上述のFlowの制限がかかった際などにもNanoBananaProを用いた画像生成ができるなど、様々に重宝しました。

便利な反面、後述する生成素材の審査が厳しめな点で苦労もしました。

Seedance 2.0(安定したハイクオリティの動画生成モデル)

2026年2月に公開された動画生成モデルです。参照する画像や映像、音声を素材に指示でき、自然な映像に仕上げられることが多いのが魅力。大きな動きをつけた場合も破綻が少なく、映画的な動きが出やすいという評価をよく見かけます。今回の動画の主軸を担いました。

Kling 3.0

こちらも2026年2月公開の動画生成モデルです。4Kにも対応し、2枚の画像の間をつなぐ補間に強みがあります。生成コストがSeedanceより少し安い印象で、ゆっくりカメラが動くだけなどシンプルな動画の場合はこっちでもいいかなみたいな感覚。

また、後述する通りHiffsfieldよりコンテンツ審査判定が甘いので、赤ちゃんや類人猿などを描く際には重宝しました。

勝手に喋らせたり、無駄な動きや光を入れたりと、AIっぽい余計なことしてくれることも多い印象、それを制限しながら生成するのがコツな印象でした。

Topaz Video AI

生成した映像の画質を上げるツールです。今回は4Kへの高解像度化と、多くのカットの4倍スロー化に使いました。

Cinema 4D

業務でも多用しているる3DCGアプリケーションです。立体的に動くタイトルモーションに使いました。文字関係は生成AIだとまだ崩れやすく、字間の調整や後からの直しもしづらいため、ここは今回も従来の素材を継続利用することを選択しました。

Suno AI

音楽と歌詞を生成する楽曲制作ツールです。BGMの作曲に使いました。今回とんでもないAIの進化を痛感したツールのひとつです。

Adobe(Photoshop、Premiere、After Effects)

お馴染みのクリエイティブアプリケーション群です。

Premiereでの編集はもちろんですが、Photoshopでの静止画のレタッチやAfter Effectsの生成塗りつぶしではAIも活用することとなります。

全体の制作の流れ

手順としては下記になります。

①Claudeで英文のプロンプト生成(下記各ステップで生成結果をもとに相談&調整)

②静止画で絵を定める(キャラクター3面図なども作成)

③静止画を素材に動画として動かす(できたら4K&スロー化などの編集)

④BGMや文字素材などを作成

⑤各素材を合わせて編集

大枠の流れは前作から変わっていませんが、各サービスが追いつけ追い越せで進化しているので色々触ってみた結果、クオリティとコストのバランスでツールはほぼ総入れ替えとなりました。

静止画で「絵」を決めてから動かす

このプロジェクトで一番大事にしていたのは、動画にする前に静止画の段階で絵をきちんと固めておくことでした。

動画生成はコストが高いので、いきなり生成してのトライ&エラーは難易度が高く、画像ほど手軽に一部を直すこともできません。だからこそ、まず静止画で構図やライティング、人物の表情までしっかり詰めておくほど、最終画をイメージ通りに仕上げられます。

キャラクターについては、正面・側面・背面をまとめた3面図を先につくり、それを参照素材として使いました。同じ人物を複数のカットに登場させても顔や衣装などの印象がブレないようにするためで、ここは前作との大きな違いです。

動かす工程は、Seedanceを軸にKlingで補う

動画生成は、基本的にHiggsfield上のSeedance 2.0を主役に据えました。理由は単純で、安定して質が高く、自然な動きや演出になりやすかったからです。

同じ指示をKlingにも出して見比べることはありましたが、私が試した範囲では、ちょっとAI的なクセが出やすい印象。基本はまずSeedanceで出してみて、どうしても望む画にならないカットだけKling 3.0に回す、という順番に落ち着きました。

ではKlingの出番はどこかというと、Higgsfieldでコンテンツ審査基準に抵触した場合・シンプルなカットで生成コストを抑えたい(とはいえそれなりのクオリティは欲しい)場合でした。

たとえば桃を割るカットは、桃から出現した裸の赤ちゃん画像がHiggsfieldで素材使用NGとなりました。服を着て出てくるのもナンだしなぁ~と困っていたら、Klingは受け入れてくれて助かりました。なぜかHiggsfieldは猿の素材もNGとなることが多かったです。

なお、SeedanceもKlingも、いまでは映像と一緒に音声まで生成できます。本編では声は使わず音楽だけを載せていますが、生成された音はそのまま残っているので、いつか長編にするときには使えそうです。最後のキャスト紹介のオマケ映像だけは、Klingに喋らせてみました。

色々語りたい細かい話は尽きないですが、それはまた別の記事で…。

思った通りにいかなかった場面

うまくいった話だけ並べても参考にならないので、つまずいた場面も書いておきます。

超自然的な現象表現

たとえば、桃が川を流れてくるカットは苦労しました。
「桃が川の上流から流れてくる」というのは、人間はイメージできますが、AIは意外と困惑して自然な映像生成が難しいようです。

Seedanceでは桃が一定の場所から動かなかったり、水面を転がってきたりと、どうにも自然になりませんでした。賢いぶん、超自然的な状況を描写すべく余計な解釈を足してしまう印象がありました。最終的には、Klingで起きている動きを分解して「水がこちらに向かって流れている、それに合わせて水面の桃も手前に移動してくる」と個別の物理現象として伝えることで、おおよそ違和感のない動きになりました。

コンテンツの審査

先述した通りHiggsfield上でのSeedanceの生成は内容の審査が厳しく、桃太郎の物語に欠かせない場面がいくつも弾かれました。

桃から生まれる裸の赤ちゃんはおろか、おくるみに包まれた赤ちゃんまで素材画像がNG、これはおそらく身体の欠損と誤認されたのだと思います。猿のキャラクターも一部カットがNGとなり、桃太郎が成立しないのではと少し焦りました。Klingが緩くて助かりました。

動画の直しにくさ

動画はまだ基本的には生成し直しが基本です。

最近はKlingの編集機能やHiggsfieldのAdobe向けプラグインなど、一部だけを直せる仕組みも出てきていますが、作り直したほうが自然な仕上がりになることが多く、結局は再生成に頼る場面がほとんどでした。

厳密には破綻している部分があるなぁという場合、今回の予告編のようなダイジェストであればおいしい部分だけ使用できますが、映画にするとなるとガチャをだいぶ引かないといけないだろうなと感じることも多かった印象です。

たとえば、猿と桃太郎の息子のバトルは実際に棍棒と刀で打ちあうところまで生成できているのですが、刀が棍棒を通り抜けたりなど、なかなか難しいよねぇというところは散見されました。

結局クオリティを決めるのはディレクション

さて、これだけAIが進化してきた中で、人間の役割はどこにあるのか。これは今回の制作で一番確かめたかった部分のひとつです。

結果的に、「ディレクション」という行為は、まだしばらくとても必要な業務だと感じました。

どのカットも、漠然としたイメージを伝えた最初の出力は、だいたいイマイチな画から始まります。大切なのはその先で、何が違うのかを見極めて指示を足していく工程でした。

クライマックスカット制作の経緯

物語の山場である、大猿と桃太郎の息子がぶつかる場面を例にします。

たとえばざっくりとした指示で静止画を出すと(といってもこれだって結構色々指定してますが)、なんともビミョーな仕上がりの画が出てくることも多いです。アングルもダイナミックさがなく味気ないし、背景のダサさやイラストのような質感の不自然さも気になる、いわゆるAI感の強い画となります。

構図にダイナミックさがなくイマイチなAI生成画像

猿のモンスターと対峙する最終カットも、ディレクション前はこんな感じ。

そこで指示を足していきます。

・カメラは地面すれすれの極端な見上げ構図にする(”極端な”と言うくらいが刺さる)。

・空間感を出すために、奥にモンスター、手前に主人公の後ろ姿というアングルにする。

・コテコテな神社っぽいオブジェクトは減らして遺跡の印象を強め、2階建ての大きな建造物に。
(鬼が島デザインはカンボジアのタプローム遺跡と日本の寺院や神社、鬼のレリーフなどの特徴を組み合わせたものを設定しています)

・大猿をもっと巨大に。

・大猿が金棒を振り上げるときは片手で振りかぶるように。

モンスターの大きさは数値で指定するより、「巨大な猿に対して人間が小さく、見上げる構図でのみ込まれそうに見える」と、相手との関係や印象を伝えると効きました。武器がぶつかる火花は画像時点で生成すると動画にしたときにおかしくなりやすいので無くしたり。イラスト感は、フォトリアルに、シネマティックにと指定しても良いですが、35mmフィルム、特定のシネマカメラ、アナモルフィックレンズといった撮影機材を指定するのも効果的です。

上記の調整を行うとだいぶ良くなりましたが、映像のクライマックスを飾るカットとしてはまだドラマチックさが足りない。

・主人公と大猿の距離を近く

・主人公は腕を広げて刀を振りかぶり飛びかかっているポーズに

・大猿は金棒を持っていないほうの腕も上げる

・両者の輪郭にリムライトが当たっている印象を強める

・背景の遺跡は崩れ落ち、火花や炎がそこかしこから上がっている

などなどと指示を増やして、複数の候補を出力した中でも飛び抜けて良く、採用となった画像がこちら。

大枠の絵が決まったら、目をもっと光らせたいなぁなどというレタッチを施した上で動画素材として使用します。

ところが最初の動画は、猿が金棒を叩きつけてから戦士が走り出す、という妙な順番になったりしました。こちらが想定した、両者が同時にぶつかる激突とは違います。

そこで動きを時系列で分解して書き直しました。主人公が走ってきてフレームイン、跳ぶ、両者が同時に武器を振り上げる、同時に振り下ろす、最後のコマで武器がぶつかって火花が散る。「同時に」という言葉を二度繰り返して両者の動作を揃えるなど、様々な試行錯誤を経てクライマックスのカットが出現しました。

これまた、何度も出しているうちに、これ以上のはなかなか出ないだろうなというカットだったので、ちょっとよく見るとツッコミどころあるんですが採用することにしました。

AIを凌ぐイマジネーションと地道な指示調整が自然なカットを生む

結果だけ見るとAIってサクッと凄い映像作れるんだね!と感じられるかもしれませんが、そこに至るには地道なディレクションによる調整があったりします。

怒った猿が目を赤く光らせるカットでは、最初は炎のように激しく光りすぎました。「燃え上がるのではなく、熾火がかすかに目覚めるように」というような詩的な表現を(Claudeが)したり、光り始めるまでを二段階に分けて書いたりして、だいぶイメージ通りになっていきました。

各カットのこの小さな調整の積み重ねこそが、AIっぽい画と、自然なカットとを分けます。AIが良かれと思って上げてきたものに対して、どれだけクオリティアップのための明確なイマジネーションを持てるかが人間の生命線と感じます。

とはいえこの感覚的な相談を、AIに刺さる英語の長文プロンプトへ翻訳してもらえることが、この工程を大きく支えてくれました。最近の生成AIは、詩のように長い文章でもしっかり読み取って反映してくれます。少し前は、長く書くほど反映されずに無視されることが多かったので、この変化は大きいと感じています。

AI動画生成についてよくある質問

これまでにいただくことの多い質問を、いくつかまとめておきます。

Q. 制作期間はどれくらいですか?

今回は以前制作したもののリメイクで、企画構成や大枠の展開が定まった状態からでしたが、トータル30~40時間というところだったかなという印象です。通常業務をこなしながら空き時間で地道に進めて2~3週間くらい。ゼロからでもおそらくトータル100時間かからず、専念すれば2週間以内には仕上がりそうと思うと、なかなか凄い世界な気がします。

Q. 動画ツールはなにがおすすめですか?

まずSeedanceを軸にして、状態が変化していくカットや、難しい構図でうまくいかないときだけKlingに回す、という順番をおすすめします。Klingは2枚の画像の間をつなぐのが得意なので、変身や変化の表現で頼りになります。GoogleのVeo3.1も良いですが、コストが高いのと、個人的には得手不得手がけっこうある印象がありました。

Q. すべてAIだけで完結するのですか。

できなくはないんですが、修正や微調整がしづらかったり、AIっぽさが強く残ったりはしそうな印象。クオリティ優先の場合、AIは「これまで予算や時間の制約でつくれなかったものをつくれるようになる」助けであって、最初から最後まで丸ごと任せる段階ではない、というのが今の実感です。

Q. プロンプトは日本語ではだめなのですか。

日本語もかなり認識してくれますが、英語のほうが指示は通りやすいです。日本人はClaudeやChatGPTに頼るのが正解かと思います。

Q. 修正も自由にできますか?

動画まで作ってからの調整はなかなか難しい印象です。レタッチツールも様々に出てきていて、一部を消すなどはだいぶうまくいくようになってきましたが、大きく変える、微妙に変えるなどは難しく、再生成ほど自然にはいきません。パーツに分けて生成・合成など、今後可逆性や修正の可能性を見越しての制作フローなどは模索していくことになりそうです。

Q. 商用利用可能ですか?

有料プランに加入していれば、主要なツールはいずれも商用利用が認められています。とはいえ規約は頻繁に更新されますので、最新規約を確認し、必要に応じて専門家に相談されることをおすすめします。

Q. 生成したものはAIの学習に使用されますか?

ツールによって扱いが大きく異なり、大まかには「個人向けプランは学習に使われうる、法人向けやAPI経由は使われない」という線引きが業界の標準になってきています。Claudeは設定で変更可、GoogleのサービスはWorkspaceのプランに加入することで原則利用されないとされ・ています。SeedanceやKling、SunoAIについては明確な情報が確認できない、もしくは使用を許諾する条項があったりするので注意が必要です。最新の状況はご自身でご確認ください。

おわりに

AIツールはどれも数日で勢力図が変わる世界なので、ここに書いた組み合わせがこの記事をご覧いただいた時点でも最適とは限りません。

だからこそimagenicでは、AIも積極的に活用する制作会社として、こうした実践と知見を日々蓄積しながら、クライアントワークにも活かしてまいります。

AIを使ったクリエイティブにご興味がある、どんなことができるのか知りたいという方も、ぜひお気軽にご相談ください。

 

まずはお気軽にご相談ください

費用のお見積り・企画検討段階からのご相談も大歓迎です。

Jun 18, 2026 | Category:journal



works